【子育て世代必読】バートランド・ラッセル『ラッセル教育論』

古典

こんにちは、アマチュア読者です!

今回ご紹介するのは、バートランド・ラッセル『ラッセル教育論』です。

著者のバートランド・ラッセル(Bertrand Arthur William Russell)はイギリスを代表する思想家です。

哲学的な著作を数多く生み出しただけでなく、物理学者のアルバート・アインシュタインとともに、核兵器廃絶・科学の平和利用を世界に訴える「ラッセル・アインシュタイン宣言」(Russel-Einstein Manifesto)をおこなったことでも世界的に認知されています。

本書『ラッセル教育論』では、著者の考える子育てや教育観を深く知ることができます。

実際の子育て経験にもとづいた、世界的に有名な哲学者が考える子育て論にふれることができ、育児や教育の参考になること間違いなしです。

近所や知り合いに超一流の哲学者がいなくとも、本書を読めば人間に対する深い洞察力を持つ著者から、子育てについて多くのことを学べます。

『ラッセル教育論』はこんな人におすすめです。

  • 子どもの教育に関心がある人
  • 実際に子育て中で教育方針に悩んでいる人
  • 一流の哲学者が考える教育論を知りたい人

今回は、本書『ラッセル教育論』で取り上げられている、子育てについて大切な考え方をご紹介します。

まずは愛情

歴史に名を残すような思想家のバートランド・ラッセルでさえも、子育てや教育に愛情は欠かせないといいます。

本書が出版された1926年のイギリスでは、言うことを聞かない子供に体罰を加えるのが当たり前だとみなされていました。

それが子供のしつけに繋がると信じて、外部から強制して教え込むことも良しとされていました(この考えは現代の日本にもまだ残っているかもしれません)。

著者は子どもの教育について、断固として体罰や外部からの強制に反対しています。

強制はときとして、子どもの人格形成に悪影響をおよぼすというのは巷間聞く話ですよね。

現代では、子どもにわかるように説明することによって社会のルールに従うようになってもらう教育法がたくさんあります。

本書を読んで、単純な効率重視にならず、時間をかけて教えることは愛情の表れなのだと改めて感じました。

甘やかしすぎない

ラッセルいわく、手放しでほめすぎるのは子供のためにならないといいます。

本書では睡眠を例に挙げ、その理由が説明されています。

子供はちやほやしてもらうのが大好きですが、それは自尊心が満足されるからだといいます。

眠らなければ必ず面倒を見てもらえることを発見すると、子供は眠ることを嫌がり、結果として健康面でも性格面でも有害になるというのが著者の考えです。

ではどうすればよいのでしょうか。

著者が提案するのは、子供が寝るベッドや布団を見れば、眠ることを連想するように習慣化することです。

十分に習慣化されているならば、子供は病気かどこか痛いのでないかぎり、目を覚ましたままで横になっているようなことをしなくなるといいます。

しかし、この連想をつくりだすには、ある程度のしつけが必要で、甘やかすだけではうまくいかないようです。

なぜなら、目を覚ましたまま横になっていることと快いということを結びつけるようになるからです。

たとえば、眠る時間になったら子供を電気の消えた寝床に連れて行くことは一例でしょう。

甘やかすことなく習慣化するまで継続すれば、子供はそれを当たり前のこととして認識するようになるかもしれません。

赤ちゃんの世話をするには、ほったらかしと甘やかしとのあいだで、微妙なバランスをとらなければならず難しいですよね。

必要なことはしなければならないけれど、過度に同情を示してもいけないし、「どうしたらいいんだ」と葛藤することもあるでしょう。

ただ、簡単にはいかないからこそ、育児のおもしろさがあるのでしょう。

著者のこの言葉を目にすると、目を開かされます。

赤ん坊の人生のどの時期にも、赤ん坊のことを、抱き犬よりもいくらか面白みのあるかわいいペットとみなしてはならない。赤ん坊は、そもそも最初から、未来のおとなとして、まじめに考えなければならない。

『ラッセル教育論』

モンテッソーリ教育

本書は100年も前に出版されたにもかかわらず、現代の日本における子ども教育で話題に挙がる「モンテッソーリ教育」が取り上げられています。

当時の子ども教育では、しつけを体罰によって体得させようとする方法が広く支持されていました。

これに対してモンテッソーリ式の教育は、外部から強制するのではなく、ゲームのルールを覚えるようなもので楽しみを得る工夫がされているというのが著者の意見です。

実際に三歳の息子をモンテッソーリ式学校に入れたところ、以前よりもしつけのよい子どもになり、校則に従うようになったといいます。

世界一流の哲学者が納得するモンテッソーリ式教育とはどんなものなのか、興味が湧いてきますね。

モンテッソーリ教育の生みの親であるマリア・モンテッソーリ(Maria Montessori )の伝記を読むと、この教育の根底にある思想が腹落ちします。

彼女に心酔していた弟子ではなく、第三者によって客観的に書かれた伝記は、事実を伝えようとする心がけがなされています。

こちらは前書きを読んだだけで引き込まれました。

モンテッソーリ教育はもちろん、この教育法を考え出したマリア・モンテッソーリの生きた道のりを追体験して多くを学ぶことができました。

こちらの記事も参考にしてください。

おわりに

今回は、バートランド・ラッセル『ラッセル教育論』をご紹介しました。

世界一流の哲学者による教育論から学ぶことが盛りだくさんです。

育児や子ども教育などに関心がある方はもちろん、教師や保育士、医療従事者の方にとっても読む価値のある一冊です。

ぜひ読んでみてください!

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