こんにちは、アマチュア読者です!
今回ご紹介するのは、ハウス加賀谷/松本キック『統合失調症がやってきた』です。
著者の二人はお笑い芸人です。
「松本ハウス」というコンビ名で、テレビのお笑い番組でも人気を博する売れっ子芸人でしたが、人気絶頂で突如として姿を消してしまいました。
本書ではテレビを観ているだけではわからなかった彼ら二人の芸人活動の裏側や、芸人になるまでの半生が赤裸々に綴られています。
2013年に出版されてからだいぶ時間が経過していますが、いまでも十分読む価値がある一冊です。
SNSやYouTubeを見るかぎり、二人はいまでも元気に活動を続けていらっしゃるようです!
本書の構成
本書は、人気絶頂にも関わらず芸能活動を休止せざるを得なかった当時の回想シーンからはじまり、ハウス加賀谷の半生、松本キックの半生と続き、芸能活動を休止してからのハウス加賀谷の療養生活、コンビ復活までの道のりへと向かいます。
テンポよく読みやすい文体で、途中で読むのが苦しかったり辛かったりする場面もありますが、二人の掛け合いで思わず笑ってしまうところも多いです。
気づけばあっという間に読み終わっていました。
ハウス加賀谷のやさしさ
本書でもっとも多くのページが割かれているのは、ハウス加賀谷の生活ぶりです。
幼少期の受験に向けた勉強漬けの毎日や、中学校に入ってからの学生生活における彼の内面が詳しく述べられています。
彼は中学生の頃から統合失調症の前兆があり、幻覚に悩まされていたといいます。
症状が悪化した高校生時代、芸人を志してから松本キックとコンビを結成するまでの経緯、統合失調症と戦いながら芸人活動を続ける日々、そういった状況を伝える文章のところどころにハウス加賀谷のやさしさが感じられます。
両親を含め、相手に対する思いやりが強いところが特に印象的でした。
松本キックのやさしさ
自分の興味を持った分野はとことん突き詰めたくなる性格という松本キックは、格闘技に興味を持ち、大学入学後に本格的に部活に明け暮れます。
格闘技には打ち込んでいたものの、自分の進路について考えてみたときに「お笑い」が思い浮かんだといいます。
そこで自分より年下の加賀谷氏と出会い、コンビを結成することになりました。
出会った当時から、加賀谷氏は異様な雰囲気を醸し出していたようです。
すでに非凡さが体から溢れていたのでしょう。
ハウス加賀谷は長期療養する直前の忙しさのなかで、薬の摂取量を増やしたことで副作用が強くなり、見た目にもその変化があらわれたときがありました。
そのときに松本キックが、言葉は少なくとも自分の気持ちを伝えた場面を読んで、心の通じ合っている仲間に多くの言葉は不要なのだと感じました。
統合失調症
ハウス加賀谷が罹患している統合失調症は、自分の気持ちや考えがまとまらなくなる状態が続くところに特徴があるといいます。
本書で取り上げられているように、幻覚や幻視にも悩まされることがあり、さまざまな種類の薬を飲むことで症状を抑えることができるようです。
そういった症状と向きあいながら、「毎日を充実させたい」「お笑いを通じて楽しい時間を過ごしたい」という気持ちが本書から伝わってきました。
飲む薬についてもふれています。
ハウス加賀谷本人の経験から、薬を多く処方すれば効果が大きくなるわけではなく、適切な量を適切なタイミングで摂取することが大切だと、本書で何度も説かれています。
本書を読んで、それまでわからなかった統合失調症の具体的な症状や悩み、うまく付き合っていく方法を知ることができました。
おわりに
今回は、ハウス加賀谷/松本キック『統合失調症がやってきた』をご紹介しました。
タイトルにあるとおり、統合失調症がやってきたときにどのように対応するのかはもちろん、統合失調症がやってきても自分の好きなお笑いを続けたいという気持ちが溢れている一冊です。
読み終えて、自分のことに正直な松本ハウスの二人に対する好感度が上がりました。
ぜひ読んでみてください!
松本ハウスのお笑いに対する思いについては、以下の記事に詳しく書かれています。
こちらも是非ご一読ください。
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