【潰されない強烈な個性】モリエール『守銭奴』

古典

こんにちは、アマチュア読者です!

今回ご紹介するのは、モリエール『守銭奴』です。

モリエールは17世紀のフランス人劇作家で、本書は彼の代表作である四大性格喜劇のひとつです。

四大性格喜劇とは、『タルチュフ』(1664年)、『ドン・ジュアン』(1665年)、『人間ぎらい』(1666年)、『守銭奴』(1668年)の四作品のことです。

戯曲の形であるため、情景描写や第三者の視点で語られる場面はなく、登場人物のセリフによって物語が進んでいきます。

恋愛とお金が二大テーマですが、メインキャラクターであるアルパゴンの強烈な個性に引き込まれ、彼の一挙手一投足に注目し続けてしまいました。

アルパゴンはお金への執着が凄まじく、人よりもお金に価値を置く人物として描かれています。

著者のモリエールは、舞台で実際にアルパゴンを演じたといいます。

そのときの話しぶりや服装、振る舞いがどのようなものだったのか非常に気になります。

アルパゴンは、自分の息子が恋焦がれた女性と結婚しようとします。

もちろん、息子であるクレアントは妹やその恋人たちと協力し、アルパゴンの計画をやめさせるべく行動します。

この恋愛劇も本書のおもしろさの一つですが、吝嗇家であるアルパゴンの価値観がセリフの随所に見られます。

以下にその一部を箇条書きにします。

ご自分が守銭奴でないかどうかのチェックリストになるかもしれません。

  • 自分の財産を地中に埋めて隠しても、盗まれないか常に不安を感じている
  • お客さんを集めての会食で、10人に対して8人分の料理で済ませる
  • お酒は要求がないかぎり提供せず、提供するにしても大量の水で割る
  • 召使に対する給料が少ない
  • 召使たちの服装がみすぼらしくても、シミや穴は帽子や立つ位置で隠すように迫る
  • 飼っているロバにやる飼料をケチっているせいでロバがガリガリ
  • 高利貸しで課す利息は二割六分以上
  • 貸し出すお金の一部は現金ではなく価値の低いインテリア家具
  • 犬が吠えると誰かが自分の資産を盗もうとしているのではないかと気が気でなくなる

ビジネスシーンでも参考になりそうな観点が目白押しです。

本書『守銭奴』を読んで、吝嗇家や金の亡者といえば「アルパゴン」のイメージが思い浮かぶようになりました。

他の登場人物が目に入らなくなるほど強烈な個性を持つアルパゴンのふるまいに、是非ふれてみてください!

本書が非常に印象的だったので、読書会で紹介しました。

本の内容だけでなく、自分の考えや新たな発見など、思うことを伝えられる場というのは貴重です。

参考にわたしが主催している読書会のリンクを掲載しておきます!

なごやか読書会@神戸
なごやか読書会は、『なごやか』に『楽しく』をモットーに神戸で定期的に開催している読書会です。

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