こんにちは、アマチュア読者です!
今回はギリシャ神話のおすすめ名著をご紹介します。
西欧の文化を深く知るためにはギリシャ神話に親しむことが欠かせません。
文学や芸術、科学にも、多くの神々が登場する物語の影響が色濃く残っています。
現代のサブカルチャーを代表するゲームも影響を受けています。
ファイナルファンタジーをはじめとする現代のロールプレイングゲームのキャラクターやアイテムにも、ギリシャ神話に因んだものが多く見受けられます。
たとえばゼウス、ポセイドン、ハデス、ケルベロス、キマイラ、ネメシス、ラグナロクといった名前は、ゲーム好きの方にもなじみ深いのではないでしょうか。
少なくとも5000年以上の長きにわたって人類に多大な影響を与え続けるギリシャ神話は、ベストセラーやロングセラーという名称では捉えきれない人類の叡智です。
こう書くと難しそうに感じるかもしれませんが、武勇伝や一目惚れの話が多く、時代を超えて世界中の人々に読み継がれています。
以下にご紹介する作品を読むと、その魅力を感じて理解が深まることは間違いありません!
読めば読むほど面白いギリシャ神話の世界に足を踏み入れてみてください!
ヘシオドス『神統記』
本書の著者は最古の叙事詩人ヘシオドスです。
ヘシオドスの作品は、作者の個性が包み隠さず現れている内容としてヨーロッパ文学史上最初のものと称えられています。
原初にカオスが生じ、つぎに大地(ガイア)や天(ウラノス)が生まれるところから始まる宇宙の成り立ちを皮切りに、太古の神々の誕生、オリュンポスの主神ゼウスがティタン族との激しい戦いの末に世界の統治者となり、賢明さ・秩序・正義・平和をもたらすに至るまでが力強く語られます。
ギリシャ神話や宇宙論の原典である本書の凄さは、通読してみてはじめてわかります!
オウィディウス『変身物語』
古代ローマの詩人オウィディウス(前43-後18)は「変身」をメインテーマにした一続きの物語を生み出しました。
大小で250もの物語が流れるように紡がれていき、その手腕は読者を驚かせます。
ギリシャ神話に登場する神々が、数かぎりない種類の動植物に変身し、それぞれの物語に息吹を吹き込みます。
ギリシャ神話、ローマ神話、各種伝説を惜しげもなく盛り込んだ作品であり、一度読んだら忘れられない読書経験になることは間違いありません!
ギリシャ神話に精通されている方はもちろん、読み始めたばかりの方もプロットの秀逸さに心をわしづかみにされ、折にふれて読み返す一冊になること請け合いです!
『四つのギリシア神話』
本書には、ギリシャの伝説的詩人ホメロスの名を冠して伝えられる『讃歌』諸篇から、特に有名な4人の神々の物語がおさめられています。
4人の神々とは、豊穣の神デメテル、弓矢・予言・音楽・医術を司る神でポイボスという呼称をもつアポロン、牧畜・窃盗・発明など様々な人間活動を守護するヘルメス、愛の女神アフロディーテです。
それぞれの物語は数十ページとコンパクトにまとまっていて読みやすく、ギリシャ神話に付き物である、「数えきれない神々のあいだの複雑な関係に悩まされる」必要がありません。
相関図を書いて理解しようと努めなくとも楽しめるのは、本書の魅力の一つです。
ギリシャ神話にあまり馴染みがなく、「神話の世界をちょっと覗いてみたい」という方にはおすすめです。
アポロドーロス『ギリシア神話』
アポロドーロスの伝える神話伝説は、ヘシオドスの『神統記』をはじめとする古いギリシャの著述を骨子としています。
これはオウィディウスの『変身物語』のようなロマンチックな要素が強いローマ文学を経て、欧州近代文学に入ったものを要約したギリシャ神話とは異なった内容です。
読者を楽しませるために面白おかしく書かれているわけではなく、古代ギリシャの神話伝承が淡々と綴られています。
いくつか内容が矛盾した伝承が併記されている箇所も目にしますが、本書の事実に対する忠実さが感じられ、信頼のおける作品です。
トマス・ブルフィンチ『ギリシア・ローマ神話』
ギリシャ神話を体系的に学びたい方に特におすすめしたいのが本書です!
西欧の文化や芸術に深く親しみたいと思ったら、ギリシャ神話やローマ神話の知識は間違いなく必要になるでしょう。
450ページ以上ある重量感で、読む前から気が引けてしまうかもしれませんが、読み終わったときの感動は他には代えられません。
ナルシスト、パンドラ、ピュグマリオン、ペルセウス、アキレウス、ヘラクレス、ラグナロク、メデューサ、ペガサスといった言葉を目にするだけでも、ギリシャ神話は現代の私たちの日常にも密接に結びついているとわかるでしょう。
さらには、切り離して考えることができない心の拠り所でもあり、本書を読むとそれは人類の叡智なのだと実感できるはずです。
本書の翻訳は随筆家として有名な野上弥生子が手掛け、序文は夏目金之助、すなわち夏目漱石によって書かれています。
明治の文豪は自らの教養を謙遜し、この大著を最後まで翻訳した野上弥生子に賛辞を送っていますが、序文の数ページだけでも読む価値があります。
夏目漱石の序文を読んで助走をつけ、ギリシャ神話の世界にどっぷり浸かりましょう!
本書のダイジェスト版として、子供向けに編集され、挿絵も多く掲載されている作品も集英社から出版されているのでおすすめです。
フェリックス・ギラン『ギリシア神話』
本書ではギリシャ神話における世界の形成と神々の誕生からはじまり、ゼウスやヘラ、アテナ、アポロン、アルテミスといった主要な神々に焦点が当てられます。
性格や特徴が述べられたあと、それぞれの神にまつわる物語が数多く紹介されます。
ギリシャ神話の本を読むと、さまざまな物語が次々と語られ、どの神がどの物語と関連しているのか混乱してしまうことがあります。
作品自体は楽しめるものの、読み終わったときに頭が整理されずに記憶に残らないことになりがちです。
本書ではそれぞれの神について丁寧に解説されており、そのうえで関連する神話が取り上げられるため、とても理解しやすいです。
さらに神々だけでなく、ヘラクレスやテセウス、アキレウスなどの英雄も本書の後半に登場します。
この英雄たちを取り上げた部分だけでも一つの作品になりそうなほど内容が充実していて、読んでいてその書きぶりに感動さえします。
特にヘラクレスが立ち向かった十二の苦役についての描写は秀逸で読み応えがあります。
彫刻や壁画、杯、絵壺などの美術品の挿絵も豊富に掲載されており、人々がギリシア神話に親しんでいたことはもちろん、ギリシア神話が人間の生活に与えた影響がいかに大きかったかを窺い知ることができます。
おわりに
今回はギリシャ神話のおすすめ名著をご紹介しました。
ギリシャの神々が織りなすさまざまな物語に親しむことで、日々の生活で楽しめることが増えます。
それまで何気なく過ぎていた出来事が、古代の人々が紡ぎ出した叡智によって彩りが添えられ、興味のある対象に変わる過程を経験すると「人生が変わった!」と実感できます。
自分が変わる経験ができる名著ばかりなので、この機会にぜひ手に取ってみてください!
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