こんにちは、アマチュア読者です!
今回ご紹介するのは、西村則康、辻義夫『理系が得意になる子の育て方』です。
著者のお二人は、プロ家庭教師集団「名門指導会」「中学受験情報局」などを運営し、学習に関わる困りごとの相談や情報発信を長年おこなっています。
多くの親御さんと接するなかで、「わが子を理系にしたい!」という声が高まっていることを感じ取るようになったといいます。
そこで、「理系に育てる」というテーマで理系にフォーカスした教育法をまとめたのが本書です。
学校教育は大きな変化の渦中にあります。
小学校ではプログラミングが必修化され、小・中学校では理数教育の充実に向けて学習指導要領が改訂されました。
中学受験においては、難関校ほど算数が合否を握る鍵となる傾向が高まり、理科も知識の丸暗記だけでは太刀打ちできない論理的思考が試される問題が出題されるようになっているといいます。
ビジネスの観点では、「子どもが社会に出る頃には多くの職業がAIに置き換わっている」「10年後、20年後に生き残る職業」といった特集がニュースや雑誌で組まれたりしています。
社会のあり方がこれまで以上に大きく変わっている現代で、子どもの将来に不安を感じる親御さんが増えるのは当然でしょう。
「先の見えない時代でも自分の力で泳ぎきる力を身につけてほしい」「大人になって困らないように、専門的な能力が育まれる教育を施したい」と考える方にとって頭に浮かぶのが「理系」という言葉なのかもしれません。
しかしながら、「どうすれば理系が得意になる子どもになるのか」と考える段になると、その先が続かない方も多いようです。
本書『理系が得意になる子の育て方』では、理系にまつわるありがちな誤解を解きながら、理系に強くなる生活習慣や学習習慣が具体的に紹介されています。
たとえば、数字に対する苦手意識をなくすために、牛乳1リットルはだいたい1kgであるというように、日常的に体積や重量の感覚を身につける重要性が説かれています。
子どもが「なぜ?」「どうして?」と気軽に聞けるような「なごやかな親子関係」についても言及があります。
単なる方法論に終始することなく、子どもの視点を大切にした親御さんのふるまいが如何に思考特性に影響を与えるのかは、忙しい日常を送っているとつい忘れがちになってしまいますが、自分の言動を振り返る意味でも示唆に富んだ内容です。
一人ひとり顔が違うように考え方もちがうはずなのに、自分が得意だった勉強のやり方や仕事で成果を出した方法を妄信し、子どもに押し付けてしまう例もいくつか挙げられています。
「方程式父さん」「方程式母さん」「エクセル父さん」「PDCA父さん」など、キャッチ―なネーミングながら、読んでみると身につまされる方も多いのではないかと思います。
本書には、親御さんの人生経験に固執することなく、子どもと一緒に楽しく「考える力」を伸ばすヒントが数多く紹介されています。
この機会にぜひ読んでみてください!
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