こんにちは、アマチュア読者です!
今回ご紹介するのは、ラテン語さん『世界はラテン語でできている』です。
「ラテン語」という言葉を聞くとき、何を思い浮かべるでしょうか。
「いまは使われていない昔の言葉」
「英語の語源になっている言語」
「古代ローマの人々が使っていた言葉で、西洋の世界でデファクト・スタンダードになった言語」
お考えはいろいろとあるでしょう。
本書『世界はラテン語でできている』は、X(旧Twitter)で毎日ラテン語に関する情報発信を続けるインフルエンサーであるラテン語さんが執筆された作品です。
世界史、政治、宗教、科学、現代、日本という6つのテーマにおいて、わたしたちに身近な言葉を引き合いに、ラテン語と世界の関係が解説されています。
イタリア半島中西部の一都市で産声を上げた言語であるラテン語は、古代ローマの勢力拡大に伴って対象範囲を広げていきました。
現在のフランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語などの元になっており、英語の形成にも一役買っています。
イングランドが11世紀にノルマンディー公ウィリアム(フランス名はギヨーム)によって征服(ノルマン・コンクエスト)された際には、フランス語が英語の語彙に影響を与えましたが、そのフランス語の元になったのがラテン語であるため、英語はラテン語の影響を受けたことになります。
ルネサンスの時代にも、イングランドの文化人たちがラテン語の多くを英語に取り入れたため、ラテン語が英語の語彙に影響を与えているのです。
英語がグローバル言語となっている現代において、その元をたどると2500年以上前に生まれたラテン語と深く関わっていると知るだけでも歴史を感じますが、本書では英語にかぎらず、日本人にも身近な言葉のルーツがラテン語である例が数多く取り上げられ、そのつながりを知ることで言葉に対する愛着が湧きます。
日常的に使用する言葉、たとえば無機質に思われる「データ」「デジタル」「コンピューター」を思い浮かべて、遠い昔のイタリアで生まれた言語との深い関わりを感じ、自分の世界を広げる。
本書を読むと、言語としてのラテン語はもちろんのこと、人類が営んできた歴史の奥深さを垣間見ることができます。
何気なく過ごしている日常を彩り、自分の見る世界を肌理こまやかにしてくれる一冊です。
巻末には漫画家・随筆家のヤマザキマリ氏との対談が収録されており、ラテン語愛にあふれるラテン語さんと、イタリア語とラテン語の関係を紹介してくださるヤマザキ氏の話は読んでいて元気が出る内容です。
ぜひ読んでみてください!
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